近年、宅配荷物の急増に伴い、軽貨物ドライバーの事故件数や死亡事故も増加しています。軽貨物ドライバーは、たとえ軽度な交通事故であっても、仕事に使う車両を一定期間失うことや、委託元との信頼関係に大きな影響を及ぼす可能性があります。このような状況下で事故に遭遇した場合、冷静でいることは容易ではありませんが、事前にどのように対処すればよいかを理解しておくことで、緊急時にも冷静に行動することができるでしょう。今回は、軽貨物ドライバーの配送中の事故は意外と多い!?事故を未然に防ぐ方法と対処方法を徹底解説します。目次意外と多い?軽貨物ドライバーの配送中の事故国土交通省から発表されたデータを見る限り、事故件数は年々増加しており、特に軽貨物の死亡・重傷事故件数は平成28年から令和3年にかけて83.4%増と、増加傾向にあることがわかります。参考>>国土交通省「事業用軽貨物自動車の事故の特徴」このデータを通じて明らかになるのは、交通事故の未然防止がますます重要になっているという事実です。安全な移動環境を築き、事故を防ぐためには、正確な情報と具体的な対策が必要です。そして、事故が起きた場合も冷静に対処することが急務です。以下では、交通事故の未然防止と発生時の適切な対処法について掘り下げていきます。事故発生時の対応事故の発生時は多くの場合、以下の流れで対処します。一つずつ詳しく説明していきます。状況確認と負傷者の応急処置警察に報告する保険会社へ連絡を入れる自分の依頼主や所属会社に連絡を入れる車を修理に出し、代車を手配する1.状況確認と負傷者の応急処置事故が発生したら、交通を妨げないように車を安全な場所に停車し、状況を確認します。事故には対人事故と対物事故がありますので、それぞれについて以下で説明します。対人事故の場合の対処対人事故が発生した場合は、相手だけでなく自分も影響を受ける可能性があります。事故直後は冷静に対応し、警察や救急車を呼び、周囲の安全を確認して自分自身も守りましょう。気が動転してその場を去るとひき逃げになりかねませんので、絶対に避けましょう。※事故直後は体に異変がなくても、時間が経ってから痛みが発生することがあります。被害者が痛みを感じないからといって、その場を離れてしまい、後で痛みが発生してから届出があると、最悪の場合ひき逃げになる可能性があります。したがって、どんな小さな事故でも必ず警察に通報しましょう。公共物を破損した場合の対処公共物にぶつかり、被害がない場合でも、自分の車や身体に怪我があると、それは交通事故に該当します。道路交通法72条に基づき、警察への報告義務と緊急措置義務が発生します。ただし、自損事故の場合は罰金や違反点数の対象外です。公共物(例: ガードレール、電柱)を損傷させた場合も、即座に警察に連絡することで、刑事責任や行政責任を問われることは避けられますが、修理費用は自己負担する必要があります。他人の所有物を破損した場合の対処他人の所有物を損傷させた場合も、警察に報告する義務があります。事故当事者同士で解決した場合でも、警察への報告を怠らないようにしましょう。罰金や違反点数は発生しませんが、修理費用は免れません。2.警察に報告する道路交通法(第72条1項)では、交通事故が発生したとき、直ちに負傷者の救護と危険防止措置を行い、警察へ連絡が義務づけられています。たとえどんなに小さな事故であっても警察に連絡しましょう。発生場所や負傷者の数、損壊の程度などを詳細に伝え、必要に応じて救急車を呼びます。状況が理解しにくい場合は、周囲の人にも協力を仰ぎましょう。3.保険会社へ連絡を入れる自動車保険約款(普通保険約款第20条)では、事故の日時、場所、概要を直ちに保険会社に連絡することが義務づけられています。保険契約者・被保険者は、事故発生時に損害の発生および拡大の防止に努め、直ちに事故の詳細を保険会社に通知する義務があります。義務に違反した場合、正当な理由なく損害が拡大した場合は、保険金支払いに差し引かれる可能性があります。3-1.保険会社に連絡するタイミング交通事故が起きた場合、最優先は負傷者の救護と被害の拡大防止です。その後、警察への報告が必要になり、保険会社への事故通知は、警察の実況見分終了後、速やかに行います。事故通知のタイミングは状況により異なり、警察実況終了後が基本ですが、ドライブレコーダーなどを活用した自動通知サービスもあります。総じて、事故発生時にはまず救護と危険防止が最優先であり、警察の実況見分終了直後に保険会社に連絡することが求められています。保険会社によっては事故相手との交渉を代行してくれる場合もあります。事故を起こしてしまった時のために入っておくべき保険は、後ほど詳細に説明いたします。3-2.被害者も保険会社に連絡しなければいけない理由事故が起きた場合、加害者が自分の加入する自動車保険を使用して損害賠償するのが原則ですが、被害者も自身の任意自動車保険会社に事故発生の連絡をするべきです。理由は以下の2つです。理由1: 被害者も損害賠償責任を負う可能性がある過失が認定される場合、相手が全面的に悪いと思っていても被害者も損害賠償責任を負うことがあります。被害者の加入する自動車保険を使用し、示談代行サービスを利用して解決が可能です。理由2: 自分の保険を使って解決できる場合がある被害者の任意自動車保険を使用して、事故で発生した損害を補償できる場合があります。特に人身傷害保険は被害者にとって有益で、過失相殺の影響を受けずに損害を全額補償できます。弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用が保険から支払われ、交渉を弁護士に依頼することもできます。総じて、被害者も自分の保険を活用して事故対応を進めることが重要であり、特に人身傷害保険や弁護士費用特約の存在を確認し、必要に応じて利用することが勧められています。4.自分の依頼主や所属会社に連絡を入れる警察と保険会社に連絡が済んだら、自分の依頼主や所属会社に迅速に報告を行います。この報告は、車両や荷物の損傷、および関与した他の当事者についての詳細な情報を含め、事故の全体像を正確に伝えることが重要です。事故の影響を業務に最小限にとどめるために、送り先にも直ちに連絡を行います。配達に関しては、他のドライバーに代走を依頼したり、荷物の一時的なストックや別の輸送手段の手配を検討するなどの柔軟で効果的な手段を取ります。5.車を修理に出し、代車を手配する事故車を修理に出し、必要に応じてレッカー移動を手配します。修理には1〜2週間以上かかる場合があり、部品不足も考慮する必要があります。業務の中断を最小限に抑えるために、代車を手配することが重要です。代車サービスを提供している業者を事前に調査しておくと良いでしょう。事故後、道路上で車が動かなくなった際の対処方法もし道路上で車両に問題が発生し、動かなくなった場合、周囲の車や後続車に迷惑をかけず、安全に対処するために以下の手順を考えてみましょう。まず、二重事故を避けるためにはハザードランプを点灯させましょう。特に幹線道路でのトラブルの場合、ハザードランプは後続車に停車していることを知らせる効果的な手段です。さらに、三角表示板を使うことも検討してください。表示板は道路の左端に配置し、後続車に適切な警告を発することが重要です。ただし、夜間や視界が悪い場合は特に注意が必要で、可能であれば車から降りてハザードランプや表示板だけでなく、周囲に注意を喚起することが重要です。次に、もし動ける状態であれば、2~3人で協力して車を押し、交通の流れを妨げない場所に移動させましょう。1~2人では押し出すことが難しい場合は、ロードサービスを呼び出すか、警察に相談することが賢明です。自動車保険にはロードサービスが含まれている場合もあるため、加入している保険の内容を事前に確認しておきましょう。黒ナンバーで事故が発生した場合の罰則事業用の車両である黒ナンバーで事故が発生した場合、特別な法的なペナルティは存在しません。この場合も、通常の自家用車で事故を起こした際と同様に、道路交通法に基づき責任が問われます。ただし、運送業においては安全運転が非常に重要視されています。したがって、特別な法的なペナルティは課せられなくても、黒ナンバーでの事故は委託元との信頼関係に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に人身事故が発生した場合、最悪のケースでは免許の停止や剥奪の可能性も考えられます。これにより、軽貨物ドライバーの職務が制約され、生計に深刻な支障が生じる可能性があります。安全な運転を心掛けることが、個人だけでなくビジネスにおいても重要であることを理解しておくべきです。ドライバーの事故を未然に防ぐにはドライバーの事故を未然に防ぐには、事故が起きやすい状況を把握することと、実際に自分の配送ルートでそのような状況があるかを振り返ることが大切です。事故が起きやすい状況は以下の事例が考えられます。事例1: 見通しの悪い場所での走行狭い交差点や駐車場の出入り口での走行は、見通しが悪いため慎重が必要です。たとえ自分が直進しているつもりでも、脇道から出てくる車があるかもしれません。特にカーブや電柱がある場所では、接触事故や急ブレーキが多発します。これを防ぐためには、安全な速度で運転することが大切です。事例2: 路上駐車の多い道路での走行路上駐車の多い市街地では、歩行者が飛び出す可能性が高まります。駐車車両の間から人が出てくることも予測できないわけではありません。左側が見えにくいため、駐車車両の横を通過する際には、急なドアの開閉や人の出現に備えることが必要です。事例3: 渋滞中の道路の走行渋滞中に急な車線変更があるかもしれません。渋滞中は焦りがちで、流れている車線に行きたくなる心理が働きます。しかし、急な車線変更は事故のもと。渋滞時こそ周囲の車両に気を配り、慎重な運転をすることが大切です。自動車に適用させることができる損害保険自動車に適用させることができる損害保険は、「強制保険」と「任意保険」の2種類あり、全体的な構造は以下のようになっております。自動車損害保険の種類対象適用保険強制保険一般用自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)事業用自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)任意保険(自動車保険)一般用賠償責任保険傷害保険車両保険事業用賠償責任保険傷害保険車両保険前者の「強制保険」が、「自動車損害賠償責任保険(通称:自賠責保険)」という保険です。自動車を購入したり譲り受けた際に、加入を法律で義務付けられている保険になります。後者の「任意保険」は、いわゆる「自動車保険」という保険です。「自賠責保険」という最低限の保険に対し、任意で必要だと思われる保険を選んで加入する保険が「自動車(任意)保険」です。自賠責保険と任意保険については以下の記事で詳しくまとめているのでそちらをご覧ください。自賠責保険>>【軽貨物】ドライバー必見!保険ガイド_自賠責保険任意保険>>【軽貨物】ドライバー必見!保険ガイド_任意保険(基本知識編)黒ナンバーの代車が今すぐ必要な場合黒ナンバーの代車が今すぐ必要な場合は以下の方法が考えられます。黒ナンバー車のカーリースを利用新車を購入中古車を購入黒ナンバー車のカーリースを利用軽貨物車が故障したり、新しい車が必要な場合、黒ナンバー車のカーリースがおすすめです。なぜなら、新車や中古車の手配は在庫や整備に左右され、費用や期間の見積もりが難しいからです。一方で、カーリースを利用すれば、必要な期間分の車を迅速に手配できます。新車を購入在庫があれば4日~1週間で納品可能ですが、在庫がない場合は1ヶ月程度かかることもあります。中古車を購入条件が揃えば最短2日で納車可能です。車検切れや整備が必要な場合は4日から1週間の納期がかかり、さらに届け出にも1日かかります。最近の中古車市場では、半導体不足の影響で価格が高騰しており、供給不足の状況が続いています。黒ナンバーの代車はカーリースがおすすめ軽貨物車が故障した場合、新車を購入するよりもカーリースが修理・レンタルが金銭的にもおすすめです。修理にかかる期間や新車手配の不確定性を回避し、必要な期間だけ必要なだけの車を利用できるのもカーリースのメリットです。白・黄ナンバーの自家用車での緊急代用は法的違反になる運賃の発生しない自社の商品を配送する場合は、白ナンバーや黄ナンバーで配送しても問題ありません。しかし、有償での貨物配送を自家用車で行うことは貨物自動車運送事業法に違反します。有償で自動車を使用して貨物運送事業を行う場合、小型・普通貨物なら緑ナンバー、軽貨物なら黒ナンバーが必要です。この法に触れると、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科され、懲役刑の場合は懲役が終わってからも5年経過しないと新たな許可の申請ができません。緊急時であっても自家用車での代車は認められないため、必ず黒ナンバーの代車を手配してください。まとめ今回は、軽貨物ドライバーの配送中の事故は意外と多い!?事故を未然に防ぐ方法と対処方法を徹底解説しました。軽貨物ドライバーは常に交通事故のリスクにさらされています。どれだけ注意していても、配達中に事故に巻き込まれるリスクはゼロにはなりません。しかし、事前の対策や適切な対処法を知ることで、リスクを最小限にし、事故を未然に防ぐことが可能です。ぜひ今回の記事を参考に、万が一の事態に備えていきましょう。(PR)配達員向けコミュニティアプリ「ドラトーク」ドラトークとは、全国の軽貨物配送に従事するドライバーが、匿名かつ無料で利用できるSNSサービスです。アプリ内では、配送先の建物・納品情報や、全国のトイレ・駐禁スポット、配送アドバイスなどがリアルタイムに共有されています。軽貨物ドライバーのためのSNS「ドラトーク」の無料ダウンロードはこちらから↓ドラトーク公式サイトこの記事で解決できなかった疑問はドラトークで解決しよう画像のように、ドラトーク内のタイムラインに質問を投稿すると、経験豊富なドライバーがいつでも親切にアドバイスしてくれます。交通事故について質問がある方はぜひドラトークを活用してみてください。また、質問を投稿する際は最初に目的を書くことをお勧めします。「〇〇について教えて欲しいです」「〇〇を買おうか悩んでいます」など、質問内容が明確だと多くのユーザーからの反応が期待できます。