トラックドライバーの労働時間は長い。そんな印象を持たれている方も多いのではないでしょうか。 今回は、物流の2024年問題を中心に解説し、トラックドライバーの労働時間についてまとめました。トラックドライバーに興味のある方、これから始めようとしている方は必見の内容になってます。そして、トラックドライバーでない一般消費者にも大きな影響があるかも!?ぜひ参考にしてみてください。1.トラックドライバーの労働時間と2024年問題 トラックドライバーの労働時間は現在のトラックドライバー、それどころか運送業界全体で注視されているトピックです。それはトラックドライバーの2024年問題という大きな変化が運送業界に訪れているからです。トラックドライバーの2024年問題とは トラックドライバー2024年問題とは2024年の4月から「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」通称「改善基準告示」が適用され、トラックドライバーの労働時間が短くなり運送が滞ることで、荷物が運べなくなる問題です。主な変化として、これまでトラックドライバーには時間外労働の上限が設定されていませんでしたが、「改善基準告示」適用後は年960時間という上限が設定されることになります。このことは、トラックドライバーだけでなく荷主や果ては消費者にも大きな影響を与えると予測されているのです。 そうでなくとも、労働時間というのはその職に就いている人、また就こうとしている人にとって重要な要素であると思います。そこで今回の記事ではトラックドライバーの既存の労働時間事情と、これからの変化についてまとめていきたいと思います。2.トラックドライバー全体の労働時間 最初にお断りしておきたいのは、この記事の作成時点(2024年5月時点)では「改善基準告示」が適用以降の労働時間のデータは見つけられなかったので、それ以前の労働時間のデータから変化の方向を予測する形で記事をまとめたいと思います。 最初にトラックドライバーの労働時間を端的に示しますと、2014年から2021年のデータで年間労働時間は大方2500時間前後で推移しています。この年間労働時間は、全産業と比べて400時間前後長くなっています。また大型トラックドライバーの年間労働時間は、中小型トラックドライバーの場合に比べ50時間前後長い傾向が見えます。 総じて、トラックドライバーの労働時間は全産業と比較して長くなっていると言えると思います。なぜこのような状況になっているのでしょうか? 先ほど述べた通り、時間外労働時間の上限がないというのもありますが、それを含めて理由はいくつか考えられます。まず一つは人手不足、近年の有効求人倍率を見ると全業界平均が1.20前後なのに対し、トラックドライバーの倍率は2.00程であり、人手不足であることが伺えます。人手不足から業務がドライバー一人に集中するため、労働時間が長くなる理由になっています。 2つ目は、トラックドライバーの給与は歩合制の傾向が大きいことです。トラックドライバーの収入は全産業の平均に比べて低い傾向にあるのですが、その上で労働量=労働時間によって給与の額が大きくされるのです。これらのことからトラックドライバーが高い給与を得るには必然的に長い時間外労働をする必要があるのです。 また、補足としてトラック事業者側からは改善しにくい、トラックドライバーが貨物が積載されるのを待つ、約50分ほどの荷待ち時間の存在が、トラックドライバーの労働時間の延長につながっていると考えられています。またこの傾向は大型トラックであるほど大きいようです。3.トラックドライバーの労働時間は「改善基準告示」で変わるの? 前の章で述べた通り、トラックドライバーの労働時間は長い傾向にあります。厚生労働省によりますと、「改善基準告示」が示された目的はトラックドライバーを初めとする自動車運転の労働者の健康を守ること。またそれに伴う事故などから国民を守ることが挙げられていました。輸送業において長時間労働が問題になっていることを示す一例として、脳・心臓疾患による労災支給決定件数を見ると、運輸業・郵便業が全業種の中で一番支給決定件数の多い業種(令和3年度:59件(うち死亡の件数は22件))であることが分かります。(自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト)これは大雑把なデータにすぎませんが運送業種の業務は健康に悪影響を及ぼすことがあると言っていいでしょう。 この状態を改善するため、「改善基準告示」には1日の拘束時間(休憩時間を含めての一回の勤務の時間)の上限は16時間、勤務と勤務の間に11時間を原則として最低9時間の休息時間を設ける必要があるなどの規定があります。 これらは運送業界や社会そのものに影響を与えるかもしれませんがだからといって変えないわけにもいかないようです。 拘束時間の規定では年換算で3300時間が上限で、これを超えた拘束時間の事業者の割合は2021年のデータで2割ほどになっています。これらにより2024年4月以降に14.2%もの輸送能力が不足すると予測されています。 これを埋めるにはトラックドライバーの人数そのものを増やしていく必要があります。しかし、先述した通り、トラックドライバーの収入は労働時間に依存しているため、期待できる収入額は既存の体制のままでは少なくなってしまうことでしょう。ただでさえトラックドライバーが不足していると言える現状、トラックドライバーの労働環境を変えなければトラック運送業そのものが立ちいかなくなっていくかもしれません。トラックドライバーでない人にも影響があるかも!? 上記のように「改善基準告示」はトラック運送業界に大きな影響を与えるものですが社会全体に影響を与えるものであるとも言えます。 なぜなら日本国内におけるトラック輸送の分担率はトンキロベースで5割を超えており、品目も多岐に渡り農水産品や食料工業品などの消費関連物ピンの割合も大きいからです。トラック輸送業界の変化は、消費者の生活にも変化を与えるでしょう。ネット通販で注文した商品が届くまでに時間を要するといった、身近な影響がでることが予想されます。4.考えられる対策 では、前章のような影響を避けるためにどのような策が考えられるのでしょうか?それは、トラック事業者、荷主、消費者のそれぞれに考えられます。 まずトラック事業者、予約システムの導入や貨物のパレット化による手荷役作業の削減、満載輸送の徹底などによる輸送の効率化。 次に荷主の側、適正な運賃を払うことはもちろん、燃料サーチャージ、高速道路料金などの支払いを負担する。また長時間の荷待ち時間をなくすことなどが挙げられます。 最後に消費者、時間指定、宅配ボックスの利用、置き配の推奨などによる確実な荷物受け取り、まとめ買いなどによる輸送機会の削減。 これらの対策が成功すれば、トラックドライバーの労働環境が劇的に改善するとも考えられます。5.まとめ①トラックドライバーの年間の労働時間は 2024年4月以前は全産業の平均に比べ、400時間ほど長い。またこの傾向は大型トラックドライバーほど大きい。②トラックドライバーの労働時間には2024年4月から新たに「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」が設定され、時間外労働の上限が設定されるなどする。③約14%ほどの輸送能力が不足すると考えられる④トラック事業者、荷主、消費者の三者それぞれに対策が求められる⑤トラックドライバーの労働時間を中心とした労働環境は変化の時を迎えており注視する必要がある 以上5項目がこの記事のまとめとなります。(PR)配達員向けコミュニティアプリ「ドラトーク トラック」ドラトークトラックとは、全国の一般配送に従事するドライバーが、匿名かつ無料で利用できるSNSサービスです。アプリ内では、仕事のアドバイスや待機場所の位置などドライバーにとって役に立つ情報がリアルタイムに共有されています。トラックドライバーのためのSNS「ドラトークトラック」の無料ダウンロードはこちらから↓この記事で解決できなかった疑問はドラトークで解決しよう画像のように、ドラトークトラック内のタイムラインに質問を投稿すると、経験豊富なドライバーがいつでも親切にアドバイスしてくれます。トラックドライバーとしての仕事に関して質問がある方はぜひドラトークトラックを活用してみてください。また、質問を投稿する際は最初に目的を書くことをお勧めします。「〇〇について教えて欲しいです」「〇〇を買おうか悩んでいます」など、質問内容が明確だと多くのユーザーからの反応が期待できます。